創作的・名前と呼びかけ方

 創作に絡んで、目下悩んでいるのが、呼びかけ方。小説の場合、地の文は姓名で・台詞では「字」で、となると誰が誰だかわかりにくい。ファンならわかることなので、二次創作の場合はさほど問題ないのかもしれないけれど……でも正直私は韓当の字とかずっと知らなかったけどな。笑

 さて、翻訳では、孫権なんかは臣下を「字+殿」と丁重に呼んでいることもある模様。しかし「殿」なんて敬称はもしかすると翻訳で勝手に付加されているのかも(未確認)。いずれにせよ臣下に敬称って個人的に萌えないので(笑)、君主臣下は「字」呼び捨てでもいいかなーと思っている。孫権は、張昭のことは敬って「張公」と呼んでいたらしいので、そういう特殊例はそれで。

 同輩、親しくない後輩、ちょっとした先輩あたりは「字+殿」でいいのかなー。本人の性格によっては同輩や後輩は呼び捨てもアリかと思っている。そこはリアリティよりエンターテインメント性。

 悩むのは上官の呼び方。何しろ史書類にはあんまり具体的な台詞などはでてこない。やっぱりここは『三国志演義』かな? と思いぱらぱらと見てみたところ、「丞相」など官職名で呼びかけているようだ。まあこれも翻訳だけど。しかしこれ「丞相」などのシンプルな官職名はいいとして、長々しい官職の場合はどうなの? と思ってさらにぱらぱらと見てみたが、あまり配下がそういう人に呼びかけてくれなくって……笑 なお劉備が諸葛亮に「丞相」と呼びかけているシーンもあるので、君主臣下も官職呼びでもいいかもしれない。

 で、これらは、直接呼びかけるときの話。第三者として会話中に出てくる場合は、どうしよう。どうやら演義では、敵は普通に姓名呼び捨て。まあ敵を敬う必要はないってことでこれがデフォルト?

 しかし泣いて馬謖を斬る諸葛亮は、味方にも拘わらず「馬謖」と姓名呼び捨て。しかし周りの人たちは「馬幼常」と「姓+字」で呼んでいる。

 また、夷陵の戦いに臨んで、陸遜を大都督に任じるかどうかで群臣がもめているシーン。これまたアンチ陸遜のひとたちは味方なのにも拘わらず「陸遜」と姓名呼び捨て、対して唯一陸遜を推している闞沢とそれを容れた孫権は「陸伯言」と姓+字で呼んでいる。

 要は味方でも「あいつめ」という見下した気持があったり、咎めるような場合には姓名呼び捨てとなるようだ。

 ちなみに官職呼びに関しては「諸葛丞相」「司馬都督」のように「姓+官職」で呼んでいるときもある。上記シーンでも、第三者としてだが孫桓を「孫将軍」韓当を「韓将軍」などと呼んでいる。韓当は不明だが孫桓の官職は「安東将軍」。とりあえず何々将軍などの人は単に「将軍」ってことでもいいだろう。

 余談ながら、演義では淩統が夷陵の戦いに参加している事実を今さら発見! 一度名前が出てるだけだけどそれでも貴重だわー。今では私はもうすっかり史実では淩統は合肥の戦いの数年後に死んだものと信じているけど、信じている一方でそれはなかったことになっているので、フィクションでもうれしい。

2006.10.23