三国志 Three Kingdoms(スリキン、新三国)

 2010年の中国ドラマ「三国志 Three Kingdoms」(「スリキン」「新三国」などと呼ばれる)を、2020年になって鑑賞した。

 ※日本語吹替版がAmazon Prime Videoで配信開始。三国志 Three Kingdoms(吹替版)
 ※中国語版は腾讯视频(Tencent Video)で配信中。新三国 ※現在は日本からも視聴可能(有料会員でも作品によっては日本では視聴不可能なので注意)。

 固定の主人公は不在の群像劇で、良くも悪くも近年の三国志ドラマほどのクセや斬新さはない。董卓から始まって五丈原の戦が終盤となるため、そもそも三国志の興味対象が魏末以降だった私はずっとスルーしていたが、「軍師連盟(三国志〜司馬懿 軍師連盟〜)」や「三国機密(三国志 Secret of Three Kingdoms)」を通して三国志ドラマファン、曹丕ファンにもなった現在はとても楽しめた。

 人間模様が面白い反面、呂布と貂蝉のくだりを除いて恋愛要素が少ないのが好み。一騎討ちから攻城戦まで戦闘シーンが多いのも王道の三国志物らしさがあり、過度に超人的なアクションは少なめ、ファンタジー演出は一切なしの、硬派タイプ……たぶん。

 なんといっても曹丕(演:于濱)と司馬懿(演:倪大紅)の君臣関係がとても魅力的で、とりわけ曹丕の複雑なパーソナリティを繊細に表現する于濱さんの演技には心打たれた。そして後半に登場して主役級の活躍をする司馬懿の、他の誰とも違う、独特の怪しい存在感! 怪しいとしか言い様がない、なんとも個性的なキャラクター。前半の主要人物である曹操(演:陳建斌)も大変魅力的で、風貌は地味ながら、ユーモラスでかわいらしくも恐ろしい大物という、実に曹操らしい曹操だった。魏や蜀に比べれば脇役ながら、呉の出番もそれなりにあり、中でもやっぱりちょっと怪しげな、知的ヒール顔の陸遜(演:邵峰)がかなり魅力的だったが、出番が少ないのが残念。

 私は蜀があまり好きでなく、未だ「推し人物」も居ないので、興味を持つきっかけの発生を期待したが、結論としては……余計に好感度が下がっただけでした。無念。

 ちなみに、劉備(演:于和偉)の人は「軍師連盟」では曹操を演じていたが、蜀パートはほぼ吹替のみで観たせいもあり、全くイメージは重ならず。「軍師連盟」といえば、こちらのチョイ役な呉質(演:王茂蕾)があちらでは献帝劉協に出世していたりもして。逆にこの人は(他でも見たことがあるが)いつもこんな感じ?

 なお、このドラマでは、司馬懿の息子としてメインで登場するのは司馬昭(演:劉國光)のみ、司馬師はたまにしか顔を見せない。司馬昭のあざなは歴史上の「子上」ではなく『三国志演義』準拠の「子尚」となっている。柔和な中にも父似の底知れなさを垣間見せる、悪くないキャラだが、如何せん活躍する時代の前に話が終わるため、司馬昭ファン視点で見るなら地味なキャラであった。(司馬昭ファンは「軍師連盟」を観ましょう)

 偶々GYAO!で配信していた日本語吹替版(現在、無料配信は終了)をメインに、好きな場面は中国語版の原音声でも観たが、総じて吹替は美声で朗々と喋る人が多く、私は中国語版の渋い声の方が好み。(ただし日本語字幕版には後述する問題が……

 という、ざっくり感想を前置きとして、本題はこちらです。「スリキン」の司馬懿は曹丕の忠臣だったか?

2020.08.04

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